次の日、あたしは真希ちゃんからの電話とメールを拒否設定にした。
これ以上好きになって傷つきたくなかったから。
だけど、自分の生活から真希ちゃんを排除したら、
あたしは生活の張りを失った。
下降する成績、
まんまと紗耶斗さんにトップを奪われた。
楽しそうじゃないから指名も減って、まさに踏んだり蹴ったりだった。
「ひとむさん、今日遊びに来ませんか？」
そんな時、誠に誘われた。
誘われるがまま誠の家に行く。
家には誠の彼女のあさ美ちゃんがいて、ご飯をご馳走になった。
いつも一生懸命な誠を、さらに一生懸命に支えるあさ美ちゃん。
見てて微笑ましかったし、羨ましかった。
帰り、駅まで送ってくれた誠と話す。
「幸せそうだな」
「幸せっすよ」
言い切ったよ、こいつ。
「癒されてますよ、毎日」
「俺も癒されたいなー」
「ひとむさん、後悔しないようにね」
「え？」
「人生一度きりじゃないっすか。当たって砕けろっすよ」
「砕けちったら慰めてくれるか？」
「もちろん」
後輩に励まされちゃったよ。
基本ネガティブなあたし、なかなか砕けちる覚悟ができなくて、
毎日悶々と悩み続けてたら酷い風邪をひいた。
熱は高いし咳は止まらないし気持ち悪いしで、ベッドから一歩も出れない。
異常に喉が渇いてスポーツドリンクを飲み干す。
ああ、無くなっちゃったよ。
新しいの取って来なくちゃ。
這うようにして冷蔵庫まで行く。
げ…在庫０？
まじで死ぬんじゃないか？ あたし。
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