店では普通に他愛もない話をした。
舞斗の緊張をほぐそうとするあたし。
これは水商売のあたしの悲しいさがかもしれない。
そんなあたしを見てくすくす笑う真希ちゃん。
ああ、軽いヤツだと思われてるんだろうな…。
明け方になって舞斗と別れた。


「送ってくよ」
「ううん」
「え?」
「もう少し話したい。ほら、店では二人で話せなかったし」

…やっぱ悪いこと言われるんだろうな…。

「じゃあ、家行こうか」



途中、コンビニで買物をする。

「何か食べたい?」

真希ちゃんがあたしを見上げて言う。
うぅ、かわいい…。

「作ってくれんの?」
「いいわよ」
「んっとねえ、胃に優しいもの」


帰ってから真希ちゃんは雑炊を作ってくれた。
出汁がきいてて、めっちゃ旨かった。


「ごちそうさま。おいしかった」

すごい幸せな気分になった。
恋人がいる生活って、こんなのなんだろうな。
そう考えながら、ぼーっと真希ちゃんの顔を見てた。

「吉澤さんて」
「ひゃい」

かっこわり。
声が裏返ったよ。


「なんで今の仕事選んだの?」
「うん…だって見た目こんなだし…」
「こんなって、めっちゃかわいい顔してるよ?」

うわ…恥ずかし…。

「あたしさ、心の中男なんだ」
「でも私の前じゃ女の子じゃん」
「それは引かれたくないから…」
「引かれたくない?」
「嫌われたくないんだ…真希ちゃんに…」
「なんで私が吉澤さんを嫌うの?」


あぁ、もうどうにでもなれ。

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